備えあればうれし泣き新宿
新宿消防署へやってきたよ。
日本のお正月にかかせない、「お餅」。
でも、毎年お餅をのどに詰まらせる事故が一番多いのもこの季節です。
今回は、もしもお餅がのどに詰まったら、どんな対応をしたらよいのか、新宿消防署の救急隊に教えてもらいます。
事故を起こさないために
まずは、事故が起こらないように気をつけましょう。
お餅に限らず、食べ物がのどに詰まるとそれはそれは苦しいもの。
東京都でも、毎年100人以上がお餅をのどに詰まらせて救急搬送されているそうです。
まずは、“詰まらないようにする”ことが大事。食べる前にちょっと気をつけることで、重大な事故を防ぐことができます。
食べる前に気をつけること。
気をつけることは以下のとおりです。
小さく切るなど、食べやすい大きさにする。
小さな子どもやお年寄りは、大きいままのお餅を噛みきるのが困難な場合があります。
急いで飲み込まず、ゆっくりとよく噛み砕いてから飲み込むようにする。
よく噛み切れていないと、大きなままのお餅を飲み込んでしまい、事故になることがあります。
食事のときは、お茶や水などを飲んで、のどを湿らせてから食べるようにする。
お年よりは、唾液が出にくい場合があるので、食べる前にのどをしめらせましょう。
また、事故が多く発生しているのが、昼食の時間帯。
夕飯かと思いきや、お昼なんですね。
手軽な昼食にと、お餅を食べることもあるかもしれませんが、そんなときこそ、ちょっとした気遣いが大事です。
これらの情報は、東京消防庁のホームページに載っています。
東京消防庁⇒安心・安全⇒日常生活における事故情報⇒(気をつけて帳)お餅がのどに詰まる事故編 ※ダウンロードして、小さな冊子になるようにできていますので、ぜひご利用ください。
事故が起こってしまったら(意識のある場合)
くっ…くるしい!
こんな人をみかけたら、背中をどんどんとたたいてあげましょう。
お餅がのどに詰まってしまったら、あわてずにまず救急車を呼びますが、救急車が来るまでの間に、できるだけの処置をしましょう。
早い対応が、重篤な事故を防ぐことになります。
のどにものが詰まってしまって苦しいとき、自分で胸をどんどんとたたきます。
それと同じ、のどを詰まらせて苦しんでいる人がいたら、まず背中をどんどんと強くたたきます。
あごを手で支え、背中をたたく
成人であれば、これでお餅がとれることも多くあります。
また、後ろから手を回し、ぐっと引き上げる「腹部突き上げ法」も有効です。
みぞおちのあたりに腕を組み、ぐっと引き寄せるように持ち上げます。
事故が起こってしまったら(意識のない場合)
お餅がすっぽりのどの中に入ってしまった場合、まったく呼吸ができずに意識を失ってしまうことがあります。
気道を確保することで、少しでも息がしやすい体勢にしてあげることが大切です。
通常、気道はこのようになっています。
(舌の右にある穴が気道、その右側にあるのが食道です)
お餅がすっぽり詰まってしまった状態。
これでは息ができません。
意識を失うと、舌の筋肉がだらりと落ちて、気道をふさいでしまいます(白い部分が舌)
頭を後ろにそらし、下顎を真上に持ち上げる(頭部後屈あご先挙上法)ことにより、このように気道を確保することができます。
指にハンカチなどを巻き、からめとります。
気道を確保したら、口の中を見て、異物が見えるかどうかを確認します。
もし見えたら、指などで、なんとかとるように努力します。少しでも早く異物を取り除くことが大事なのです。
指や箸などで取る場合は、ガーゼなどを巻き、お餅をからませて取るようにします。
よく「掃除機で吸い取る」という方もいますが、これは肺にかかる負担が大きいこともあり、現在はあまり推奨していません。
意識がなく、異物も確認できない場合。
意識がなく、異物も確認できない場合、救急隊の方はどのように処置するのか、見せてもらいました。
肉眼では見えないが
喉頭鏡を入れて異物を確認
喉頭鏡で照らしながら、鉗子で異物を取り除きます。
また、吸引してとることもあります(これは掃除機ではなく、専用の吸引器です)。
できるだけ早い処置が命を救うカギとなります。
年齢別でみると、70~80代の方の事故が多く、約7割以上の方が中等症(入院が必要)以上となり、年齢の上昇とともに、症状が重くなる傾向にあります。
高齢者のいるご家庭では、一緒に食事をとるなど、注意することが大切です。
※東京消防庁「気をつけて帳」より
びちくん、吐き出して!
あっ、ちょっと見えないと思ったら、びちくんがお餅をつまみぐい!!
いわんこっちゃない、ごらんのとおりのどにつまらせました。
い、いやだー、ぼくこれ食べたいんだよぅ~、うううううっ
結局救急隊の方のお世話に…
命に別状がなくてよかった。
救急隊のみなさん、ご協力ありがとうございました!
#7119 を活用しましょう
急な病気やケガをした場合に、「救急車を呼んだほうがいいのかな?」、「今すぐ病院に行ったほうがいいのかな?」など迷った際の相談窓口として、救急相談センター「#7119」を開設しています。
「#7119」(シャープ・ナナ・イチ・イチ・キュウ)では、
1.症状に基づく緊急性の有無のアドバイス
2.受診の必要性に関するアドバイス
3.医療機関案内
を行っています。
急な病気やケガをした場合に、「救急車を呼んだほうがいいのかな?」、「今すぐ病院に行ったほうがいいのかな?」など迷ったときには、#7119へお電話ください。
取材協力
新宿消防署
参考資料
東京消防庁ホームページ(東京消防庁⇒東京消防庁⇒安心・安全⇒日常生活における事故情報⇒(気をつけて帳)お餅がのどに詰まる事故編)