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Cute Movies

92歳のパリジェンヌ

「2か月後の10月17日に私は逝きます――」 92歳の誕生日に、突然母が告げた。信念を貫き、自らの一生を駆け抜けた母の、感動の実話。

(C)2015 FIDELITE FILMS - WILD BUNCH - FRANCE 2 CINEMA - FANTAISIE FILMS
(C)2015 FIDELITE FILMS - WILD BUNCH - FRANCE 2 CINEMA - FANTAISIE FILMS
92歳のパリジェンヌ

監督:パスカル・プザドゥー 
脚本:パスカル・プザドゥー、ロラン・ドゥ・バルティーヤ 
原案:ノエル・シャトレ「最期の教え」(青土社刊)
出演:サンドリーヌ・ボネール『親密すぎるうちあけ話』『仕立て屋の恋』、マルト・ヴィラロンガ『溺れゆく女』『私の好きな季節』

ストーリー

かつては助産婦として活躍し、今は子供や孫にも恵まれ、ひとり穏やかな老後を過ごしているマドレーヌ。
まだまだ元気な彼女だが、気がかりなのは、数年前からノートに書き記している「一人でできなくなったことリスト」の項目がどんどん増えていること。
そんな中で迎えた92歳の誕生日、お祝いに駆けつけた家族に対して彼女は驚くべき発表をする。皆に迷惑をかける前に、自らの手で人生に幕を下ろす決意をしたというのだ。絶対反対を唱える家族たちと、決して揺るがないマドレーヌの意志。
しかし限られた日々の中で、家族たちはマドレーヌの想い、そして彼女の生きてきた人生と触れ合っていき――。

記者の見どころ

「2ヶ月後の10月17日に私は逝きますー」。そんな告白から始まる本作は、フランス元首相リオネル・ジョスパンの母親の実話をもとにした感動作だ。

階段が上れなくなった。
車を運転できなくなった。

だんだんと出来ないことが増えてきた92歳のマドレーヌ(マルト・ヴィラロンガ)が尊厳死の意向を家族に告げ、本作は始まる。「病院のベッドの上では死にたくない」と話す彼女に反対する家族たちが当然の反応に思えるが、物語の中盤からその考えが変わってくる。死を決めたマドレーヌから溢れ出る生命力や彼女の人生を楽しむ様から、人生の美しさが見えてきた。

原作は2004年に刊行された「最期の教え」。原作者ノエル・シャトレは刊行当初に殺到した映画化オファーを全て断ったという。11年の年月をかけて映画化が実現した本作は、原作を軸に架空の家族を作り出すことで、最期のときまで自由に美しく生きた一人の女性を描いた物語だ。高齢化社会の到来とともに尊厳死や安楽死の是非が多く語られるようになった、昨今の社会に対するフランスなりのアプローチともとれる作品でもある。

フランス映画祭2016エールフランス観客賞にも選ばれた本作。尊厳ある死を求めた一人のパリジェンヌの物語が、あなたの死生観を変えるかもしれない。

Text by EISUKE